2月23日(水、祝)RIZIN TRIGGER 2ndが静岡で開催されました。私の注目はやっぱりクレベル・コイケ対佐々木憂流迦の試合です。ペイパービューでしっかり観戦しました。
ブラジリアン柔術の鬼人、クレベルコイケ選手は昨年6月に浅倉未来と試合して以来、久しぶりです。今回の対戦相手はアメリカ最大の格闘技団体UFCでも活躍していた佐々木憂流迦選手です。どちらも寝技が強い選手、いち柔術家としてどうなるのかとても楽しみです。
1回戦は打撃の展開
お互い寝技、組み技が強い選手ですが意外にも打撃の展開になりました。 佐々木選手が距離をとって打撃に集中して、クレベルが打撃から組み付こうとしても突き放して付き合わない。そして 佐々木選手の右フックでクレベル選手が吹っ飛んでしまう。
当たった瞬間、白目が見えてしまうほど強力でしたが佐々木選手は深入りはせず立ち技に戻す。後のインタビューでは「まだ目が生きている」と言っていたのでそれほど効いてはいなかったのでしょう、クレベル選手もすぐに立ちました。
立ち上がってもダメージがあるのかクレベル選手はケージを背負って佐々木選手に攻められが後半は自分から打撃の猛攻をして組み付き、ようやく組み合いをするが佐々木は嫌がって離れる。それでもクレベルは打撃で攻めて距離を詰めますが佐々木はやはり嫌がって打ち合いの展開。
2回戦、クレベルの寝技地獄
2回戦はクレベル選手、勝負に出ます。打撃戦の中から飛びつきギロチンの形に入りますが、佐々木選手は金網に押し込むも。次にクレベル選手、タックルに入り1度目は切られるも、2度目のタックルから引き込み、ジワジワとバックに回って佐々木選手にチョークスリーパーを仕掛けます。
入ったかに見えたが、佐々木は手を剥がして何とか逃れる。だがクレベル選手はバックについたまま、もう一度トライしてチョークを極め、今度は佐々木選手をタップさせて勝利しました。
クレベルのチョークで一本勝ち
クレベル選手、素晴らしい勝利でした。おめでとうございます!負けた佐々木選手も途中、追い詰めていました。とても素晴らしい試合でした。どちらもお疲れ様です!
試合後、二人でお互い何度も「ありがとう!」と言っていました。お互い相手に感謝する気持ち、リスペクトする気持ちを忘れない、とても素敵な光景した。試合後のマイクパフォーマンスではタイトルマッチを要求、実現できると面白いですね。
技術考察
やはり2回戦の展開はこれぞ柔術家と言った展開でした。一度は打撃の展開を仕掛けそれからフロントチョークで引き込むも失敗。
離れたところからすぐにタックルをして成功、組み付くことができたら無理に倒さず背中をつけて引き込み、佐々木選手が嫌がって立とうとしても無理せず組み合ったまま立ち上がり、また引き込む。
引き込みもここまで戦略的だとすごいですね。いきなりタックルに行っても入れないし無理に引き込もうとすればすぐに突き離されていたと思います。しっかり手順を踏んだことで成功できたと思います。
そのあとはもうクレベル選手の時間です。スィープしてジワジワとバックをとって、一度バックが解除されそうになっても背中越しに腕をつかんでまたバックをとって、リカバリーもとても上手です。
フィニッシュのチョークスリーパーも一度は腕をはがされて失敗。逃げようとするところをしっかりバックポジションをキープしてもう一度仕掛けて成功。その際、一度目の失敗をふまえての持ち方を変えてますね。佐々木選手はクレベル選手の手をはがすことが出来ずタップしてしまいます。
巧みなブラジリアン柔術の技術
最後の寝技の展開はブラジリアン柔術の技術がふんだんに使われていました。単純なスィープや絞め技だけでなくポジションキープの技術、それもただ同じポジションでいるというのとは違って、相手の動きを予測してパウンドも取り入れながら常に自分の有利なポジションに持っていく技術です。最後のチョークスリーパーも一度やってダメなら修正して2度目できめる。この修正する技術と冷静な判断力が素晴らしいと思います。
これらの技術がブラジリアン柔術だと思います。マット運動や技の反復、スパーリングなど 普段の練習を通して緻密に作り上げてきた戦い方がここにあると思います。